凹凸試料のEDS定量分析

 EDSで信頼性の高い定量分析を行うためには、試料と検出器の位置関係を正確に知ることが必要です。しかし凹凸のある試料では、スペクトルが測定された地点での局所的な形状を把握することは困難です。定量結果を改善するためのアプローチの1つは、試料を回転させて複数のスペクトルを測定することです。これにより、試料形状が定量に及ぼす影響が薄れ、化学量論的濃度に近い結果が得られます。

 図1は、凹凸のある三元系合金試料の2次電子像を示しています。試料は認証された標準物質で、認証値は質量%で元素A:33.4%、元素B:41.3%、元素C:25.3%となっています。組成を評価するために、表面の5点でスペクトルを測定しました(図1a)。次に、試料を180°回転させ、ほぼ同じ5点でスペクトルを測定しました(図1b)。平均したスペクトルから得られた組成は元素A:33.5 %、元素B:40.8 %、元素C:25.7%で、認証値と非常に近い結果が得られました。Bruker独自のEDSであるXFlash®FlatQUAD検出器を用いて、凹凸のある表面を簡単に測定することが可能です。

図1a:凹凸のある三元系合金の2次電子像(ステージ回転なし)
図1b:凹凸のある三元系合金の2次電子像(180°ステージ回転)
EDS 点分析スペクトルと定量結果