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VCD - 振動円二色性

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互いに鏡に映した構造を持つエナンチオマー

機器

PMA 50は、特に赤外分光法における偏光変調のために開発されたもので、円二色性(例:VCD分光法の場合)と線形二色性(例:PM-IRRAS実験の場合)の観測を実行することができます。偏光変調は統合された光弾性変調器によって行います。 PMA 50モジュールはブルカーのINVENIOおよびVERTEX FTIR分光計で制御することができます。 光学部品と電子部品はすべて偏光変調用に最適化されています。ブルカーのFTIR分光計と組み合わせて使用することで、PMA 50は比類のない感度と柔軟性を発揮。また、FTIR分光計はその他すべての用途に対応します。

 

 

手法

「VCD」は「Vibrational Circular Dichroism」の略で、振動円二色性を意味します。非偏光赤外放射を伴う振動励起によって吸収スペクトルを記録する従来の赤外分光法と異なり、VCD分光法では光学活性化合物における右と左の円偏光赤外放射の違い (ΔA = AL-AR)が観測されます。すべてのキラル分子は光学活性を示します。キラル分子は、回転しても一致しない鏡像関係にある2つの異なる構造に存在しています。このような2つの構造をエナンチオマーといいます。人の右手と左手の関係もエナンチオマーの一つです。

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キラル分子と光の相互作用においては、光の円偏光によって両エナンチオマーの吸収に差が見られます。光学活性化合物の右円偏光(AR)と左円偏光(AL)では吸収の度合いが異なります。その差(ΔA = AL-AR)は、すべてのキラル分子においてゼロではありません。この効果を振動円二色性といいます。

対照的に、ラセミ混合物や等方性分子などすべての非キラル化合物における差(ΔA = AL-AR)はゼロで、これはつまり光学活性が上昇し、各々の光学活性が存在しないことを意味しています。

一般的にVCD信号は伝送時に記録され、その強度は通常、吸収単位で10-4から10-5の範囲におよびます。こうして見ると、FTIR分光計に関しては、必要な精度を達成するために最高水準の性能が求められることにも納得がいきます。 こうしたニーズに応えるため、ブルカーはPMA 50を提供しています。ブルカーのINVENIOおよびVERTEX FTIR分光計を併せて使用することにより、パワフルでフレキシブルな比類のないシステムを構築できます。

ソフトウェア

測定の制御には、FT-IR分光計でも用いられるOPUS分光ソフトウェアを使用します。VCDスペクトルの計算と正規化は自動的に行われます。OPUSは実用的なデータ操作のパッケージを提供します。例えば、定量分析や定性分析、ライブラリ検索に加え、独自のライブラリの構築などが非常に簡単にできます。

 

 

サンプル調製

VCD分光法では、サンプルの観測は液体(純粋な溶液中の固体)または固体(懸濁、ペレット)の透過において行われます。ブルカー・オプティクスは、最適なVCDスペクトルを得るため、数種類の液体セルと様々な窓材およびスペーサを提供しています。自然に温度制御された液体セルもあり、例えばタンパク質の配座において温度によって誘発された変化を観測する際に使用されます。