マルチレシーバーを搭載したNMR分光計では複数のスペクトルを同時に測定するマルチレシーブ実験が可能です。レシーバーを一つ装備した分光計ではスペクトルを一つずつ順番に測定するので測定に時間を要します。それに対して、マルチレシーブ実験をすることにより測定時間を短縮できます。ここではマルチレシーブ実験の中から一次元、または二次元の1H-1H相関と1H-19F相関の同時観測や1H-13C相関と19F-13C相関の同時観測などの実例を示しながら説明します。
主に低分子有機化合物を対象としたマルチレシーブ実験に焦点を当て説明します。その他、生体高分子などの分野における測定例についても紹介します。
金場 哲平
バイオスピン事業部 アプリケーション部