アプリケーションノート -  磁気共鳴

microESRを活用した学習:学生向けのハンズオン体験

電子スピン共鳴(ESR)は、(常磁性である)不対電子を含む原子や分子を検出する強力なイメージング技術です。

電子スピン共鳴(ESR)は、電子常磁性共鳴(EPR)とも言われ、(常磁性である)不対電子を含む原子や分子を検出する強力なイメージング技術です(NMRの最大1000倍の感度)。こうした原子や分子は他の分光法でも視覚化できますが、ESRは特に不対電子を正確に定量することが可能であり、この特殊性の高さが特長です。さらに、優れた時間分解能によって、短寿命分子をモニターすることも可能です。

ESRは、核磁気共鳴(NMR)と似ていますが、原子核ではなく、不対電子の磁気特性を測定することで、不対電子を含む分子領域を特定します。これにより、他の分光法では観測できない現象に関する知見が得られるため、NMRと相性が良くデータを補完します。ESRには、フリーラジカルの同定、レドックスプロセスおよび反応速度の分析、生体系のin situでのラベル化した分子の観察など、幅広く重要なアプリケーションがあります。

microESRが開発されたことで、学部生はこうした高度な専門技法も利用しやすくなりました。microESRは小型であるため、研究室などの限られたスペースで使用したり、別の場所に移動したりするのも簡単です。数分間の説明で理解できるほど装置の操作も分かりやすく、特殊なセットアップも不要です。さらに、ソフトウェアを使用することで、取得したデータの処理も簡単になります。また、この装置には液体冷媒を充填する必要がないため、メンテナンスも非常に容易です。このように、小型のmicroESRは教育現場での利用に適していますが、その優れた機能性は研究にも十分に対応します。

先日行われたインタビューで、Cape Breton大学の化学研究室上級インストラクターであるJudy MacInnis氏は、より高度な分析機器を学生が利用できる機会の重要性について強調しています。「実際に機器に触れることができる機会は、Cape Breton大学の学部生にとって非常に貴重です。試料に関するデータを収集して解釈できるだけでなく、分析を行うための機器のセットアップと実際の操作を体験できることは、将来、それぞれのキャリアで大いに役立つ貴重な経験です。」

Cape Breton大学の学部生には、Bruker の400 MHz NMRやmicroESRをはじめ、多様な分析機器に触れる環境が整っています。「Cape Breton大学のVerschuren Centreと応用ナノテクノロジー研究のXu Zhang博士率いる研究グループを通じて、microESRを利用できる機会が与えられたことはとても幸運です。」

この2台の分析機器は補完し合う形にあるため、学生は研究室で合成する化合物の構造を、明確に異なる2つの方法で同定できるようになりました。

数多くのメーカーの中からBruker の製品が選ばれたのは、購入したシステムで利用可能な全ての機能をユーザーが確実に理解できるようにするサポートと研修が行われることが大きな理由です。MacInnis氏はまた、次のように述べています。「Bruker 社のサービスサポート体制は優れています。分析機器に何らかの問題が生じた際には、サービス窓口に電話をかけるだけで、必要なサポートを直ちに受けることができます。これがBruker の機器を選択した理由の1つです。」