アプリケーション例 - 磁気共鳴

TD-NMRによる界面活性剤溶液の相変化の評価

界面活性剤は、親水性基と疎水性基を持つ両親媒性の化合物です。界面活性剤は、液体の表面張力を下げるために用いられます。

「全体的に見て、NMRのデータは、あらゆる場面での降伏応力の変化や、DLSと顕微鏡による観察結果と一致しています。」

界面活性剤は、親水性基と疎水性基を持つ両親媒性の化合物です。界面活性剤は、液体の表面張力を低下させるために用いられます。界面活性剤の用途は、洗剤、付箋紙、発泡体、石油回収率向上など、多岐にわたります。界面活性剤は、様々な構造を持つ薬剤の総称であるため、それぞれの用途に応じて非常に幅広いニーズを満たすことができます。

溶解度は、ある特定の機能に適した界面活性剤を選択する際に重要な検討項目です。溶解度はさらに、温度、pH、濃度、溶液中に存在する物質によっても影響を受けることがあります。界面活性剤は、共溶媒を加えるまでは、通常、不溶性です。界面活性剤の電荷は、ポリマーを添加したり、炭酸ナトリウムを添加するなどしてpHを上げることで打ち消すことができます。

界面活性剤は、臨界ミセル濃度(critical micelle concentration, CMC)と言われる一定の濃度以上になると、ミセルに凝集する傾向にあります。実際のCMCは、界面活性剤の構造とそのイオン強度に依存します。従ってCMCは、ポリマーの添加、塩やアルコールによって調整することができます。

界面活性剤の濃度がCMCを大幅に超えると、既存のミセルが大きくなるのではなく、ミセルの数が増えます。さらに濃度を上げると、ミセルの凝集が起こります。このような変化が起こる界面活性剤分子の濃度を決定するために、様々な手法が用いられてきました。核磁気共鳴分光法は、存在する物質を識別し、それぞれの存在量を同時に測定できるという点で、他の手法よりも優れています。

NMRは、低濃度の界面活性剤溶液のCMCの検出に用いられ、成功しています。最近の研究では、この手法を高濃度へと拡張し、CMCを超える相転移を検出できることが明らかになっています。

温度制御、磁場勾配付きのBruker Minispec™ mq20を用いた時間領域NMR(TD-NMR)により、幅広い濃度の界面活性剤の相挙動が調査されました。

この研究では、高濃度でのCMCと二次相転移の両方の検出に成功しています。CMCの高濃度側と低濃度側で直線的な関係が観察され、一次相転移が生じたときに明確な傾きの変化が見られました。CMCの90倍までの高濃度の界面活性剤では、NMRの信号の変化によって、ミセルの形状やその他の構造の変化を伴う二次相転移が効果的に示されました。

NMRスペクトルで確認された相変化は,動的光散乱(DLS)と交差偏光顕微鏡を用いて確認しました。ほとんどの場合、これらの分析技術で得られた結果は、界面活性剤溶液の目に見える違いと、NMRスペクトルで検出された変化とが一致しました。

今回の最新の発見によって、TD-NMRが二次的な相転移の検出に活用できることが示されています。粘度の違いを利用することで、NMRのデータから界面活性剤溶液の相変化を予測します。

参考文献:

Reilly T, et al. Amphiphilic second-order phase transitions determined through NMR. Journal of Molecular Liquids 2018;268:647–657. https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0167732218306809