X線回折 (XRD)

DIFFRAC.DQUANTソフトウェア

ブルカーのDIFFRAC.DQUANTソフトウェアは、X線回折データを用いた結晶相の定量分析行えます。このソフトウェアパッケージは、検量線の登録、補正・校正、評価手法の各機能を有します。DIFFRAC.Measurement Centerと連携させることで、測定および解析を自動化させることができます。

結晶相定量分析

ルーティーン分析とプロセスコントロール

定量分析: 検量線の作成からレポート出力

最新のDIFFRAC.DQUANTは、経験豊富な装置責任者から日常業務を行うユーザーまで、どなたにとっても理想的な解析ツールです。本ソフトウェアには、以下の分析法を設定するためのひな形ワークフローが付属しています。

  • 標準試料による検量線作成
  • ドリフト補正
  • モジュールと理論式
  • 標準添加法
  • 集塵サンプル用フィルター法 (基底板による強度補正、NIOSH 7500準拠)
  • 面積比法
  • 部分的最小二乗回帰(PLSR)(V2の新機能)

検量線は常に対話形式で定義され、未知サンプルの測定終了後、シンプルなユーザーインターフェースでマニュアル評価するか、測定条件と組み合わせて自動的に解析が行われます。

ユーザーガイド検量線法

PLSRキャリブレーションのDIFFRAC.DQUANT GUIトレーニングビュー

DIFFRAC.DQUANTは直感的なグラフィカルユーザーインターフェースとワークフローガイダンスを組み合わせています。様々な分析タスクに対応したウォークダウンデータツリーがあらかじめ設定されています。

検量線と強度ドリフト補正はサンプルタイプごとに構築され、解析に適用されます。熟練ユーザーは、未知サンプルについて対話式インターフェースを用いて解析することも可能です。

定量に用いられる理論式は、濃度モジュールに格納され、検量線から瞬時に任意のレポートフォーマットに出力されます。

強度モジュールを使用することで、分析の柔軟性を最大限に高めることが可能です。標準搭載の数式エディタでは、得られたピーク面積に対して四則演算などの処理が簡単に行えます。これにより、ユーザー定義の強度補正、ピークオーバーラップの補正、または選択配向の影響を軽減するための強度の平均化などの機能を活用することができます。

ユーザーフレンドリーな分析

オペレーターモードXQUANT出力

DQUANTではユーザーの恣意的な解析への介在を防ぎ、完全に自動化されたデータ評価を行うことが可能です。ブラックボックス化された定量分析を好まないユーザーのためには、シンプルなユーザーインターフェースが用意されています。これにより、ユーザーは検証済みの検量線を読み込み、未知サンプルの測定結果を自動的に分析することができます。

未知サンプル評価用に検量線を修正する必要はありません。それどころか、関連するすべてのサンプルの測定結果が一度の解析実行で行われ、検量線プロジェクトファイルで定義されたレイアウトに基き定量結果が表示されます。

結果表示には複数の表レイアウトが用意されています。

これらの表には、異なるレベルの情報が含まれています。結果のプレビュー画面では、さらに編集したり、表計算プログラムに出力したり、印刷やPDF、XPSなどのドキュメント形式へ出力したりすることができます。

測定-解析-レポーティングの自動化

D6 PHASERの操作パネルでDQUANTとTOPASを組み合わせた「インスペック」評価の結果表示例。

DQUANTはDIFFRAC.Measurement Centerソフトウェアパッケージの機能をフル活用し、定量分析を簡素化します。測定シーケンスにおいて、未知サンプル、標準サンプル、または強度モニターサンプルそれぞれに対して、測定条件と解析条件をサンプルIDとリンクさせることが可能です。

DQUANTでのデータ解析処理と結果の表示は、測定に組み込まれた自動処理、またはユーザーによる手動実行の双方が可能です。"Push-Button"が示すとおりボタンを押すだけの簡単な操作により、作業工数が簡略化されます。

バージョン2では、DIFFRAC.SUITE RESULTS MANAGERで高度なレポートを作成するために、拡張プロパティを装置データベースにエクスポートします。これには、フィットの目視検査、各フェーズの多数のパラメータの評価、モジュールの計算、限界チェック、複数サンプルのレポート用のグラフや表による結果の表示が含まれます。

さらに、RESULTS.MANAGERでクエリされたスキャンは、評価のためにDIFFRAC.DQUANTに直接渡すことができるため、RESULTS.MANAGERはデータの中枢となります。

DQUANTの特長

  • 既知の標準サンプルを用いた検量線に基づいた、正確な測定・解析を実現
  • 微小吸収効果に起因する系統誤差の低減
  • ユーザートレーニングをほほ不要にする"Push-Button"操作
  • モジュール定義と組み込み計算式に裏付けされる分析自由度の高さ
  • 単一ピークのみを用いる高速モード対応
  • 自動測定・自動解析、サンプルチェンジャーを組み合わせた高スループット対応
  • Ca用XRFチャネルとの連携機能
  • 絶対量 (μgからgオーダー) または相対濃度 (wt%) 出力対応
  • PLSRは、セメントの炭酸化度のような、特定の相の強度と明らかな関係を持たない特性を校正することを可能にする。

分析の目的はどれですか?

遊離けい酸モニタリング

微結晶シリカは、土壌や岩石の代表的な成分ですが、鋳造用材料やコンクリートなどにも含まれています。このような遊離ケイ酸の吸入に伴う業務上の曝露による健康被害は、予防する必要があると考えられています。各国当局によって発表されている曝露限界値を順守するため、シリカ濃度は適切なモニターが必要です。DIFFRAC.DQUANTソフトウェアは、規範に準拠したドリフト補正検量線を登録し、未知サンプルを5 μg以下の定量限界まで評価し、その結果をラボ情報管理システム (LIMS) や装置内データベースに直接レポートするために使用されます。NIOSH 7500または部分補正で要求される、基底板の吸収補正を完全にサポートしています。

残留オーステナイト

XRDとDIFFRAC.DQUANTは、鉄鋼材料の強度やその他の機械的特性と相関のある残留オーステナイトの定量に広く用いられます。面積比法は、XRD強度から直接定量値を計算するために使用されます。ASTM E 975やSAE SP-453などの実施手法に基き、0.5%以上の精度レベルで結果を得るための標準メソッドを提供しています。複数のピークを見ることで、鉄鋼材料中の集合組織や優先配向についての更なる情報を得ることができます。

アルミニウム精錬

浴比または「Potflux」法は、XRFにより得られたCa濃度の情報と代表的な鉱物の濃度をDIFFRAC.DQUANT内で組み合わせることで、金属製造プロセスの製錬セル組成を決定します。凝固電解液の鉱物学知見に基き、製錬セルの操業管理、アルミニウム精錬の主要なコスト要因である原材料や電力の消費量を管理するために不可欠な制御パラメーターが導き出されます。さらに、陽極の品質はXRDとDIFFRAC.DQUANTによってモニターされます。

DIFFRAC.DQUANTソフトウェア技術仕様

バージョン 現在のバージョン: DIFFRAC.DQUANT V2.0  

対応解析手法

  • 検量線法 (最大3次関数までサポート)
  • 標準添加法
  • Chung法 (参照強度比法)
  • フィルター法 (基底板補正を行う環境分析、NIOSH 7500 準拠)
  • XRDとCaチャネルXRFの同時解析対応
  • 部分的最小二乗回帰(PLSR)
 
強度モデル
  • 数値積分
  • 分析的ピークプロファイルフィッティング(積分面積と強度)
  • DIFFRAC.TOPASからのピークフィットデータ
  • Ca元素チャンネル
  • マニュアル強度
 

準拠

cGxP および 21CFR Part 11                  

 

対応OS

Windows 10およびWindows 11、(64ビット)

 

DIFFRAC.DQUANTを最新版にアップデート

無償メンテナンスアップデート

無償のDIFFRAC.DQUANTメンテナンスアップデートは、お使いの.DQUANTのバージョンを最新版に更新します。お客様の.DQUANTライセンスレベルに関係なく、最新のメンテナンスアップデートを www.brukersupport.com から無償でダウンロードすることができます。

ダウンロード手順

  • Bruker Customer Supportに登録します
  • "Software"ボタンをクリックします
  • 検索窓でDIFFRAC.DQUANT を検索します
  • 実行ファイルをダウンロードしてアップデートします

バグ修正

DIFFRAC.DQUANTを最新版にアップデートすることで、ライセンスレベルに関係なく、現在のバージョンだけでなく、以前にリリースされたバージョンのすべてのバグ修正が適用されます。DIFFRAC.DQUANTメンテナンスアップデートは累積的なものですので、すべてのバージョンにも適用することができます。

アップデートとアップグレード

DIFFRAC.DQUANTメンテナンスアップデートには新機能は含まれていません。新しいバージョンに導入された新機能を利用したい場合は、最新のDIFFRAC.DQUANTへの有償アップグレードが必要です。

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