構造生物学

天然変性タンパク質

ブルカーのGHzクラスのNMR技術は、天然変性タンパク質(IDP)のようなタンパク質やタンパク質複合体の機能・構造生物学における新しい研究を可能にします。超高磁場NMRは、IDPの物理的特性や相互作用を研究できる唯一の手法です。

タンパク質は生体内において特定の立体構造(天然構造)を形成し、タンパク質としての機能を発揮します。この考え方は古くからありましたが、近年、立体構造を形成しないタンパク質が存在することが知られるようになりました。このような不規則な構造を有するものを天然変性タンパク質(IDP)と言います。IDPは特定の構造を持たず、常に揺らいだ構造をとっています。天然構造のタンパク質の概念と異なり、天然変性タンパク質はそれとは全く異なる機能を有すると考えられます。

近年、天然変性タンパク質(IDP)の生物学的重要性が、NMRを用いた配列特異的な帰属によって発見されています。現在では、健康なシステムと様々な病気の病態生理の両方において、生物学的に重要な役割を果たしていることが認識されています。

​IDPは特定の構造を持たず、ランダムな動きをするため、その研究は困難を極めます。IDPは結晶中で動いているため、X線結晶構造回折の手法ではその特性を把握できません。そこで、動いている領域を観測するのに向いている核磁気共鳴(NMR)が用いられることになります。NMRは、構造生物学において、IDPを含むタンパク質のダイナミクスを研究するための強力な手法として発展してきました。新しい技術を用いることで、現在では不完全な帰属やスペクトルの重なり、翻訳後修飾の検出が困難、などの課題を克服することができます。

Why bioNMR? New series on how NMR can be used for biology research.

機能・構造生物学研究のためのブルカーのGHz NMR

ブルカーは、先進的なNMRソリューションにより、機能・構造生物学研究にスポットを当てています。GHzクラスの新しいNMR技術は、細胞膜タンパク質の構造的な特徴や、タンパク質の折り畳みおよび凝集に関与する分子メカニズムの理解を深めるなど、タンパク質とリガンドの相互作用の親和性や特異性の構造基盤に関する高度な研究を可能にします。

1.2GHz NMRのスペクトル分解能と感度の向上により、研究チームは既にタンパク質をより深く観察できるようになり、アミロイド型タンパク質の凝集の初期段階や、アルツハイマー病に関連するタウ(Tau)タンパク質の機能および構造への理解が深まっています。

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