GHz NMRが提供する、神経変性疾患や老化研究における機能構造生物学研究のための新しい科学的手法

マサチューセッツ州ビレリカ - 2021年3月29日 - ENC (Experimental Nuclear Magnetic Resonance Conference) 2021において、ブルカーコーポレーション(Nasdaq: BRKR)は、ドイツのユーリヒ総合研究機構(Forschungszentrum Juelich: FZJ)が、1.2 GHz Avance™ 核磁気共鳴(NMR)分光計の導入によって、神経変性疾患における機能構造生物学へと研究領域を拡大したことを発表しました。 FZJの新しいGHz NMRは、細胞膜タンパク質の構造的な特徴、タンパク質の折り畳みおよび凝集に関与する分子メカニズムの理解を深めるなど、タンパク質とリガンドの相互作用の親和性や特異性の構造基盤に関する高度な研究を可能にします。

FZJの生物情報処理研究所(Institute of Biological Information Processing, IBI-7)に設置された1.2GHz NMRによって得られるスペクトルの分解能と感度が向上したことで、FZJの研究チームは、新しい抗生物質の開発、オートファジーの理解、アルツハイマー病研究におけるアミロイド型タンパク質凝集の初期段階の解明など、タンパク質をより深く解析できるようになりました。

2021年初めに検収が完了した ユーリヒ総合研究機構のAvance 1.2 GHz NMRシステム

ドイツ・デュッセルドルフのハインリッヒ・ハイネ大学(Heinrich Heine University, HHU)の物理生物学研究所所長で、FZJのIBI-7所長でもあるDieter Willbold教授は次のように説明しています。
「新しい1.2GHzのシステムは、ユーリヒ構造生物学センター (JuStruct)の重要な設備として、老化や加齢に伴う神経変性疾患のトランスレーショナルリサーチに貢献します。 我々の研究は既に、第2相臨床試験の開始を目前に控えたアルツハイマー病(AD)の薬剤候補の開発に貢献しています。」 
FZJとHHUが共同で運営している生体分子NMRセンターのマネージャー、Dr. Matthias Stoldtは、この進捗状況に満足しており、「1.2GHz NMRの検収を終えた直後の今、既に貴重な疾患研究サンプルの初期スペクトルを得ることができています。」と話しています。

 IBI-7のグループリーダーであるAndrew Dingley教授は、「超高磁場NMRは、新しいクラスの抗生物質を開発するために、抗感染症バイオ医薬品会社であるAiCuris AGとの共同プロジェクトの後押しとなります。 」

さらに「我々は、より複雑なサンプルやより自然な環境で、より高度な構造の詳細を把握することができ、生命の基本的な側面についてより実際的な洞察を得ることができると期待しています。」と述べています。

この新しい1.2GHz NMRの導入により、ユーリヒ大学の科学者たちは、機能構造生物学のための固体NMRを用いた研究を進めることができるようになります。脂質二重層に埋め込まれている膜タンパク質やタンパク質の凝集体など、結晶化も溶解もできないタンパク質の構造決定に有効です。

 HHUとFZJの生体分子固体NMR分光部門の責任者であるHenrike Heise教授は、「固体NMRの研究は、超高磁場でのより高いスペクトル分解能と感度によって大きな恩恵を受けるでしょう」とコメントしています。

HHUのハイゼンベルググループのリーダーであるDr Nils-Alexander Lakomekは、「GHzクラスのNMRにより、脂質膜と相互作用する天然変性タンパク質の高分解能スペクトルを、溶液NMRとBruker 0.7mm MASプローブを用いた高速マジック角回転 固体NMRの両方で測定することができるようになります」と付け加えました。

ブルカー・バイオスピン・グループ社長のDr. Falko Busseは、「FZ Juelichに納品した1.2GHzのシステムは、世界で4台目となります。FZJとHHUの研究者が、機能構造生物学と生化学の分野でどのような進歩を遂げるのか、非常に楽しみにしています。」と述べています。

1.2GHz NMRによるアルツハイマー病(AD)研究のためのアミロイド線維の機能構造生物学研究

ブルカーコーポレーション (Nasdaq: BRKR)

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