小角X線散乱 (SAXS)

NANOSTAR

ナノスケール宇宙への望遠鏡|測定の柔軟性を追求したモジュール設計の小角X線散乱専用装置

NANOGRAPHY - SAXS - WAXS - GISAXS

ø 140 mm
大面積・高感度2次元検出器 VÅNTEC-500
1ショットの広い視野で、サンプルの等方性・異方性に関わらずすべての散乱強度を記録
> 100 nm
到達可能なスケール
モジュール設計の採用により散乱強度を広範囲に記録し、125nmを超える大きさのナノ構造体評価へと導きます
50 ~ 1500 mm
サンプル-検出器間距離
散乱強度記録範囲を最適化する、自由度の高い検出器設置距離
最大検出器距離に設定されたNANOSTAR

他に類を見ないモジュール設計を採用したNANOSTARは、SAXS (小角X線散乱)、GISAXS (すれすれ入射小角X線散乱)、WAXS (広角X線散乱)、ナノグラフィーを用いたナノ構造体やナノ構造表面特性の評価に理想的なツールです。鏡面加工ピンホールコリメーションシステムは、高強度かつ高平行度で寄生散乱の少ない理想的なビーム形状を実現します。大容量試料室には、あらゆる条件下で多くのサンプルタイプの測定を行うための様々な専用およびサードパーティ製サンプルアタッチメントを搭載することができます。そして、サンプルからの散乱強度はその等方性や異方性に関わらず大面積かつ低バックグラウンドな高感度2次元検出器により記録されます。

NANOSTAR - 特長

IμS マイクロフォーカスX線源

この独自のX線源は、水冷を一切必要とせず、非常に安定した高強度の点焦点X線ビームを発生します。堅牢な設計を採用することで、3年保証を実現しました。IµSには、最先端の2D光学系であるMONTELが組み込まれており、サンプル上で最高の強度を得ることができます。このL字配置の多層膜ミラーにより、X線光源からの大きな立体角で反射させ、非常に平行で単色性の高いビームへと高効率に変換します。

NANOSTAR - 特長

XL Sample Chamber

NANOSTARの大型試料室は、多数のフィードスルーポートを備えており、真空、不活性ガス、または大気圧下に制御することができます。複数のサンプルを連続処理するためのさまざまな標準ステージと、最大の分析機能を実現するためのサードパーティ製およびカスタムステージを搭載することができます。大きな可動範囲を有する電動XYステージと電動リファレンスホイールは、サンプル位置調整とリファレンス測定およびバックグラウンド測定を効率化します。 

NANOSTAR - 特長

VÅNTEC-500 2D検出器

2D MIKROGAPTM テクノロジーを搭載した VÅNTEC-500 2 次元検出器は、SAXS 専用システムの理想的な要件をすべて満たしています。まず、フローガスや冷却水、定期的なメンテナンスの必要がなく、高い放射線耐性、高い衝撃耐性を有するため、堅牢で使いやすい検出器となっています。直径140mmの広い有効検出面積により、360°全視野で広い角度範囲を網羅します。非常に低いバックグラウンドと、高い最大カウントレートにより、きわめて大きいダイナミックレンジを有しており、弱い散乱強度のサンプルに対しても高感度測定が実現できます。すぐれた空間分解能により、近接した散乱ピークの分離を可能にします。このようなアプリケーションに理想的な機能の組み合わせを提供できる検出器は他にはありません。

アプリケーション

NANOSTARアプリケーション

小角X線散乱 (SAXS) と 広角X線散乱 (WAXS)

小角X線散乱 (SAXS) とは、マトリックス中に電子密度の異なる粒子が存在することで起こる現象です。粒子径が1 nm ~ 200 nmの場合、測定に使用するX線の波長に応じて、散乱角2θは0°~5°の範囲内にあります。粒子径が小さいほど散乱角2θは大きくなります。

マトリックス中の粒子のさまざまな配置は、電子密度の違いを示し、SAXS測定を行うと、その配置に応じた特定のパターンが得られます。SAXSでは2次元的な散乱強度の分布パターンから粒子の大きさとともに、粒子形状、距離、サイズ分布を決定することができます。ここでの粒子には、分散した巨大分子、金属中の析出物、生体組織中のミネラル粒子、界面活性剤ミセルなどが挙げられます。

SAXSとは対照的に、広角X線散乱 (WAXS) は、結晶構造の原子間距離であるオングストロームレベルの構造調査に利用できます。多くの場合、WAXSはBragg回折、すなわちXRDパターンの評価に使用され、結晶構造、結晶化度、結晶子サイズ、相同定を行うことができます。WAXSデータは、第2の検出器をサンプルに近接して配置することで、SAXSデータと同時に記録することができます。

NANOSTARアプリケーション

すれすれ入射小角X線散乱 (GISAXS)

表面または"埋もれた"構造の詳細を調べるためには、サンプルに対しすれすれ入射配置が採られます。入射角はいわゆる全反射臨界角度に近く、典型的には0.1°から0.7°の間に設定されます。このすれすれ入射SAXS (GISAXS) 測定では、2次元検出器を用いてサンプル面垂直方向から面内方向までのあらゆる散漫散乱を含む強度分布を記録します。

GISAXS専用ステージには電動チルト機能が付いており、サンプルを精緻にアライメントすることができます。

NANOSTARアプリケーション

ナノグラフィー

ナノグラフィー調査はNANOSTARの試料室に組み込まれた電動制御XYステージを使用します。これにより、サンプルの選択した領域を自動的にX線ビームでマッピングすることができます。散乱強度や他の散乱パラメーターは、色分けされた2D等高線図で描画されます。

ナノグラフィーは不均一なサンプルの測定箇所を迅速かつ選択的に検出することができ、小さなサンプルでも正確に測定位置を定義することができます。ひとつのナノグラフィー画像の個々のポイントは、2D記録された積分SAXS/WAXS強度を表しています。

NANOSTAR 技術仕様

特長

仕様

メリット

IμS マイクロフォーカスX線源

完全空冷・高強度マイクロフォーカスX線源

30 Wの超低消費電力

3年保証

冷却水不要・完全空冷

高強度を実現するすぐれた発生出力密度

理想的なビームを形成するMONTELミラー

SCATEXピンホール

寄生散乱のない理想的な入射ビーム形状

寄生散乱レス

高分解能 または 高強度セット

高強度2ピンホール構成

簡便で安定したピンホールアライメント機構

XL Sample Chamber

サンプル位置決め・マッピング用XYステージや多目的ステージ、サードパーティ製アタッチメントの搭載を可能にする大型試料室

試料室内サイズ:287 mm (幅) × 501 mm (高) × 380 mm (奥行き)

フィードスルーフランジ

80 mm × 130 mmのXY可動範囲

電動リファレンスホイール

真空雰囲気、大気雰囲気、不活性ガス置換対応

VÅNTEC-500 2D検出器

大面積 低バックグラウンド 高感度2次元検出器

360°のSAXS/WAXS視野を実現する140 mm径大面積検出領域

高感度測定を実現する低バックグラウンド特性

68 μm ピクセルピッチによる優れた角度分解能

メンテナンスフリー (冷却水・ガス交換不要、放射線耐性)

DIFFRAC.SUITEソフトウェアパッケージを用いた解析

サービス&サポート