リチウムイオン電池における銅集電体の微細構造解析

銅箔は、リチウムイオン電池電極の集電体として広く使用されています。活物質が塗布されるための安定した基板として機能し、充放電サイクル中における電極構造の健全性を維持します。
材料コスト削減のため、より薄い銅箔の開発が進められていますが、均一性と強度を維持するには高度な製造技術が必要となります。

銅箔の電気伝導性および機械的な耐久性は、その微細構造や結晶方位(結晶学的テクスチャ)に直接影響されます。そのため、電析や圧延・焼鈍工程において、目的とする性能を得るために慎重に設計・制御されています。電子後方散乱回折法(EBSD)は、高分解能な微細構造解析を可能とする実績ある分析手法であり、結晶粒の特性、結晶方位分布、粒界特性に関する定量的な知見が得られます。

製造プロセス(電解法〔電析〕または圧延法)によって、表面に対して垂直方向に〈111〉または〈110〉の結晶方位(テクスチャ)が形成されることが知られています。¹
一般に〈111〉テクスチャは電気化学的安定性を高めるため、好ましいとされています。一方、〈110〉方位は銅箔の延性を低下させ、充放電サイクル中の破損を引き起こしやすくなる傾向があります。
また、双晶粒界の分布も、銅箔の強度や耐久性に影響を与えます。

本例では、VSP(Very Smooth Profile)銅箔を、eWARP EBSD 検出器を用いて解析しました。表面には、機械的な変形を与えることなく、コロイダルシリカ溶液と柔らかいクロス(バフ)を用いた穏やかな化学研磨処理を施しました(図1参照)。
測定はわずか 18 分間で、約 2,800 点/秒の速度により 300 万点を超えるピクセルをデータ取得しました。微細構造解析は、加速電圧 10 kV、照射電流 12 nA という低い加速電圧及び比較的低い照射電流で測定しています。


結晶粒径分布は、250 × 180 µm² という広い領域にわたって評価され、平均粒径 7 µm、最大粒径 18 µm の結晶粒が 9,481 個確認されました(図2)。

References & Further Information

[1] Eric Bogatin, “The Quest for Smoother Copper May Have Reached Its Limit”, SIJ January 2020 Print Issue, Design Tips: Page 44.

[2] Zhu et al., “Mechanical properties of commercial copper current-collector foils”, RSC Adv., 2014, 4, 57671