結晶転移:EBSDを用いたグリーンスチールの微細組織解析

グリーンスチール製造は、単なる技術革新にとどまらず、環境修復の促進、経済的レジリエンスの強化、そして持続可能な産業変革を推進する重要な原動力です。水素を用いた製鉄プロセスの導入は、カーボンニュートラルな鉄鋼生産を実現するうえで不可欠な鍵となります。

電子後方散乱回折法(EBSD)は、水素による鉄鉱石還元プロセスにおいて生じる微細組織変化を高分解能で解析することを可能にし、グリーンスチール製造プロセスの最適化およびスケールアップにおいて重要な役割を果たします。

Brukerの eWARP検出器は、EBSD技術における画期的な進歩を示すものであり、電子直接検出技術(Direct Electron Detection)と高度な CMOSアーキテクチャを組み合わせることで、感度を飛躍的に向上させ、高分解能の結晶学解析におけるデータ取得速度を大幅に高速化します。これにより、鉄鉱石試料の詳細な結晶構造解析が可能となります。

水素還元に伴う微細組織の進化

EBSD相マップ(Figure1a)は、700℃、100%水素雰囲気下で1分間還元したヘマタイトペレット試料内部における、ヘマタイト(赤)および マグネタイト(青)の分布を示しています。本マップは約 300万ピクセルで構成され、約105 × 70 µmの領域をカバーしており、50 nmステップでわずか 10分で取得されました。

対応する結晶方位マップ(Figure1b)からは、還元プロセスが試料全体で動的かつ不均一に進行していることが分かります。一部のヘマタイト粒子は未還元のまま残っている一方で、変態が始まったばかりの粒子(左上)や、すでに完全にマグネタイトへ変換された粒子(右下)も確認されます。

特に注目すべき点として、このマップは還元挙動の興味深い特徴を示しています。中央左に位置するヘマタイト粒子では、2つの異なる起点から還元が進行している様子が観察され、明確に識別できる2つの競合する還元フロントの存在が示されています。

As shown in figure 2a further exposure to identical atmospheric conditions for 20 minutes results in continued reduction, with Magnetite (blue) converting into Ferrite (green). Ferrite represents the targeted end state in the thermochemical pathway of this sustainable steel production method.

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