ニッケル基超合金は、優れた機械的強度に加え、高温クリープ変形、疲労、腐食、酸化に対する高い耐性を有することで知られています。そのため、ガスタービンや航空機エンジンなどの高温構造用途において、材料の第一選択として広く使用されています。
これらの材料では、機械的特性を適切に制御するために微細構造の評価が極めて重要です。
さらに、高温強度を実現するためには、固溶強化や第二相析出物(γʼ相、窒化物、炭化物)による析出強化が不可欠です。そのため、強化プロセス中に形成される未知の析出物を特定することの重要性が高まっています。
本アプリケーション例では、EDS アシスト EBSD 測定が、微細な析出物を含む異なる相を正確に同定・インデクシングする上で重要であることを示しています。測定領域は、Figure. 1 に示す相コントラスト像(ARGUS™ BSE 検出器により取得)で確認できます。ARGUS 像からは、多数の微細な析出物(炭化物)と、さらに 3 種類の異なる相の存在が推察されます。
炭化物を分解・識別するため、ステップサイズ 50 nm の空間分解能で EBSD/EDS 同時測定を実施しました。EBSD の結果は Figure. 2、5、6 に示しています。EDS と EBSD を組み合わせた解析により、以下の 4 相が同定されました。
ニッケル(母相)
ニッケル–アルミニウム相
ニッケル–タングステン相
タンタル炭化物
本解析における課題は、炭化物相とニッケル母相を正確に識別することです。両者はいずれも立方晶 fcc 構造を有しており、そのため非常に類似した回折パターンを示します(Figure. 3 および 4 参照)。
この課題に対応するため、EDS アシスト EBSD インデクシングを用いて、マップのオフライン補正を行いました。その結果を Figure. 5 に示します。