アプリケーションノート -  磁気共鳴

抗酸化作用のあるアルコールで
ホリデーシーズンを祝う
- ESRがその方法を明らかに

抗酸化物質は、反応性の高いフリーラジカルを中和し、組織の損傷や炎症のリスクを軽減する作用があり、クリスマスの時期に飲まれるアルコールにも含まれていることがわかっています。

ブルカーEMX ESRを使用して、電子スピン共鳴(ESR)法による、アルコール飲料の抗酸化作用が調査された研究をご紹介します。

年末になると家族や友人とのクリスマスパーティや親睦会で、ワインを飲む機会があったり、パイやケーキにブランデー漬けのフルーツが添えられていたり、アルコールをとる機会が増えるかもしれません。

飲酒が老化や病気の原因となる理由の一つは、アルコールが肝臓で代謝される際に、反応性の高い酸素種が生成されることにあります。このようなフリーラジカルは、脂肪、タンパク質、DNAなど、細胞の構成要素に損傷を与え、細胞膜や血管壁の重要な機能に影響します。

そのため、クリスマスや新年のお祝いの後には、過剰に摂取したアルコールから体を回復させるために、デトックスの期間が設けられることが多く、何百万人もの人々が31日間アルコールを断つ「Dry January」は、世界的な現象となっているようです。

抗酸化物質は、反応性の高いフリーラジカルを中和し、組織の損傷や炎症のリスクを軽減する作用があり、クリスマスの時期に飲まれるお酒の中にも含まれていることがわかっています。ブルカーEMX ESRを使用して、電子スピン共鳴(ESR)法による、アルコール飲料の抗酸化作用を調べる研究が行われています。ESRは、フリーラジカルのような不対電子を含む種を特異的に検出する技術です。DPPH(1,1-diphenyl-2-picrylhydrazyl)溶液は安定なラジカルです。このDPPH溶液を試料に加えた時に、抗酸化物質が存在する場合はラジカルと抗酸化物質の相互作用により不対電子の数が減少するため、ESRスペクトルの強度が変化します。

その結果、調査されたうちの何種類かのアルコール飲料が抗酸化作用を示すことが明らかになりました。赤ワインとブランデーが最も高い抗酸化作用を示し、次にウィスキーが続きました。ポリフェノールの含有量、熟成期間や熟成方法、添加された香料や着色料などの違いがあるため、お酒の種類によって抗酸化力が異なっています。

お酒の種類を選ぶことで、デトックスの心配をせずに済むかもしれません。— cheers!(乾杯)

参考文献

Bartoszek M, et al.An electron paramagnetic resonance study of antioxidant properties of alcoholic beverages. Food Chemistry 2012;132:2089‑2093.