FTIR分光法は、マイクロプラスチックの研究においてこれまでに見出された中で最も一般的なアプローチです。ワークフローは非常にシンプルで、精度と信頼性の高い結果が得られます。特に、焦点面アレイによるFTIRイメージングは、最先端ソリューションです。FTIR装置のセットアップについて詳しく知りたい場合は、LUMOS IIおよびHYPERIONのウェブサイトをご覧ください。
試料に応じて、透過法(非接触で、IR光がMPを完全に通過する)と全反射吸収法(ATR:接触が必要で、IR光がMP表面にわずかに貫通する)のどちらかを使用できます。反射での測定も可能ですが(非接触で、IR光がMPを2度通過しなければならない)、ここではそれについては議論しません。
透過測定は標準的なアプローチですが、IR光が検出器まで自由に通過できるようにする特殊なフィルターが必要です。テフロン(PTFE)膜、金属メッシュ、シリコン、酸化アルミニウムからお好きなフィルターをお選びいただけます。どれにもそれぞれの長所と短所がありますが、酸化アルミニウムが一般によく使用されるため、弊社のウェブサイトおよび動画では、酸化アルミニウムを例として使用しています。一方、ATRは、複雑な試料の準備も特殊なフィルターも必要ありません。標準的なニトロセルロースフィルター上のマイクロプラスチックを、あるいは堆積物やその他の複雑な材料上にあるマイクロプラスチックでも直接分析できます。
飲料水やその他の飲料の分析を行う場合は、適切なフィルター材料で液体をろ過してから分析します。河川や海の水を分析する場合は、密度分離によって木、砂、海藻などの物質を除去する必要があります。これには、さまざまな濃度の食塩水を使用します。準備した試料は、IR分析の対象とする前に完全に乾燥させる必要があります。場合によっては、試料をろ過する前に酵素消化やH2O2処理を行って有機汚染物質と生物的汚染物質を除去しておく必要があります。
最も簡単な方法は、まず目視で注目する粒子を見つけてから、化学マッピングで特性を1つ1つ評価していくことです。この「おきまり」的なアプローチは、非常に実行しやすい一方で、手作業で検索を行うと膨大な時間がかかります。このため、FTIRマッピングによるマイクロプラスチック分析の作業を労力のかかり過ぎないワークフローにするには、自動的な外観検査による同定が重要な要件となります。一般的に見つかるあらゆるポリマーの赤外線スペクトル基準ライブラリにより、測定後、直ちに明確な同定が得られます。
自動的な外観検査による同定では人的ミスが低減されますが、この方法には小さい粒子を見落とすというリスクがあります。小さい粒子はコントラストが低くなる場合があるためです。人的ミスをほぼ完全になくすには、FTIRイメージングがより安全なアプローチです。FTIRまたは焦点面アレイ(FPA)のイメージングは、マイクロプラスチック分析に対する最先端ソリューションです。このソリューションは、一点マッピング分析と比べて迅速に分析でき、空間分解能も高くなります。
通常、イメージングでは、マイクロプラスチック粒子を乗せたフィルター全体が1度のセッションで分析されます。評価が化学的な情報のみで行われるため、視覚コントラストの低い小さな粒子を見逃す可能性が大幅に低減します。マイクロプラスチックのFTIRイメージングの詳細については、動画をご覧ください。
この問いに対する明確な答えを見つけることは、やはり困難です。先駆的なアルフレッド・ウェゲナー極地海洋研究所、オールボー大学などの研究者達は、FPAテクノロジーを頼りにしています。しかし、低濃度のマイクロプラスチックの特性を評価するような一部の事例では、マッピング実験の方が効率が高くなっています。
弊社は、FTIRによるMP分析における長年の経験を備えた振動(マイクロ)分光法の専門家として、マイクロプラスチックの調査における皆様の要求を最もうまく満たすソリューションを見つけるお手伝いをします。詳細は何なりとお問い合わせください。