ウエハーのエッチング後の残留Si、Wの高速元素マッピング

 短時間での元素マッピングが必要な場合、高入力カウントレート(ICR)での測定が理想的です。一般的な入力カウントレート(この例では63 kcps)で短時間(1 フレーム = 7 秒)の測定を行った場合、合計カウント数が低すぎるために定量分析を行うことはできず、マップフィルタ無しでは元素の分布を確認することも難しい場合があります(図2上)。

 この例のように1.740 keVのSi-Kピークと1.775 keVのW-Mピークが重なり合っている場合はピークデコンボリューションが必要となり、マッピングはさらに難しくなります。ここではオンラインデコンボリューション機能を使用して、それぞれの強度ピークを復元しています(図1)。

 電子ビーム電流を大きくすると入力カウントレートが高くなり(この例では700 kcps)、統計的に十分なカウント数とスペクトル品質を維持しつつ高速EDSマッピングが可能です。このような測定条件でXFlash® 7検出器を使用すると、マップフィルタ無しでも理想的な空間分解能で詳細な元素分布イメージを確認することができます(図2下および図3下)。

 図1 重なり合うSi-Kα線(1.740 keV)とW-Mα線(1.775 keV)のピークデコンボリューション
図2 エッチングされたAu上の残留SiおよびWの重ね合わせEDSマップ。加速電圧 15 kV、1フレーム(7秒)、イメージフィルタ無し、Si-K線とW-M線のデコンボリューションマップ。(上図)入力カウントレート 63 kcps(デッドタイム 18%)。(下図)入力カウントレート 700 kcps(デッドタイム 38%)。
図3 20フレーム(測定時間 140 秒)の重ね合わせEDSマップ。加速電圧 15 kV、イメージフィルタ無し、Si-K線とW-M線のデコンボリューションマップ。(上図)入力カウントレート 63 kcps(デッドタイム 18%)。(下図)入力カウントレート 700 kcps(デッドタイム 38%)。