SiCコアシェル型シリコンナノ粒子の超高分解能元素マッピング

 シリコンナノ粒子などのビーム損傷を受けやすい試料のSEM-EDS分析では、非常に低いビーム電流や非常に短い時間での測定が必要です。また、高い空間分解能が必要な場合は、低加速電圧で電子とサンプルの相互作用領域を小さくする必要があります。このような条件では励起されるX線の収率が非常に低く、非常に長い測定時間が必要になるため、従来のEDS検出器での分析は困難です。結果として、ビームによる試料ドリフトのために空間分解能が損なわれていました。

 XFlash® FlatQUAD検出器は、これらの制限を克服することができます。XFlash® FlatQUADの独自の形状は、低X線収量の試料に対しても高い検出感度を実現し、低いプローブ電流で高いカウント率を得ることができます。XFlash® FlatQUADは、凹凸がありビーム損傷を受けやすい試料をマッピングするのに最適な検出器です。

 このアプリケーション例では、シリコンナノ粒子の高空間分解能マップ(ピクセル間隔 2 nm)を示しています。この元素マップは、加速電圧 5 kV、520 pA、積算時間 377秒で、XFlash® FlatQUADで測定されました。重ね合わせ元素マップは、このナノ粒子がシリコン(緑)のコアと炭素(赤)のシェルで構成されていることを示しています。(データ提供:S.Rades et al., Royal Society of Chemistry Advances, 2014, 4, 49577)

フィルター材料上のシリコンナノ粒子の2次電子像
シリコンナノ粒子の元素マップ(緑:シリコン、赤:炭素)
元素マップから抽出したライン分析により、シリコンナノ粒子の直径が100 nmであることがわかります。