TEM-EDSを用いた半導体RAMマイクロチップの超高分解能マッピング

X線ベースの方法による半導体ナノ構造の元素分布マッピングは、必ずしも容易ではありません。ナノスケールの空間分解能の必要性とX線ピークのオーバーラップは、半導体材料を調査する際の一般的な課題です。特性評価のために高価なTEMで工数を使う代わりに、SEMを使用したほうが有益な場合があります。本例では、試料とSEMポールピースの間に放射状に配置された4つのSDD象限をもつXFlash®EDS検出器を用いて、SEMで取得した半導体構造の高解像度EDSマップを示しています。20kVの加速電圧と220pAのビーム電流を用いています。XFlash®検出器の高感度により、SEMで10 nmより優れた空間分解能を達成することができます(図2参照)。X線ピークが強く重なっているにもかかわらず、BrukerのESPRITソフトウェアに実装されているピークデコンボリューションモデルにより、シリコン(Si)とタングステン(W)がマップ上で十分に区別することができます(図1参照)。

図1:RAMマイクロチップの元素分布マップと面積スペクトル。SiとWのデコンボリューションに成功しています。
図2:図1のハイパーマップから抽出されたラインスキャン測定。XY方向は10nmの解像度でプロファイルに沿った元素分布の変化を明らかにしています。