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顕微赤外分光法の基礎

FT-IR イメージング 基礎

ここでは FT-IR イメージングの概要について、データの取得方法を中心に説明します。

FT-IR Imaging Basics

FT-IR イメージとは?

コントラストが低くなりがちな可視画像と異なり、FT-IR イメージ (ケミカルイメージ) は試料の汚染の様子を明瞭に捉えます。

FT-IR イメージは、FT-IR スペクトルの情報を含む画素で構成される画像です。FT-IR スペクトルは分子化学情報を与えるため、FT-IR イメージは、一種のケミカルイメージと呼べます。したがって、FT-IR イメージを得ることで、分析対象物の化学特性を可視化することができます。

このイメージデータは、分析の課題を解決するうえで、複数の方法から使用することができますが、試料の特性を強調して特徴づけるために疑似カラーイメージを構築することが標準的なアプローチです。FT-IR イメージは、着目する化学成分の分散の様子を明瞭に表現します。

多くの場合、顕微 FT-IR はこれらのイメージを取得するために使われますが、赤外分光情報を損なうことはありません。FT-IR イメージは、透過法や反射法はもちろん、ATR 法でも得ることができます。

FT-IR イメージはどのようにして得られますか?

1 x 1 mm の生体組織試料に関する FPA を用いたイメージング測定のリアルタイム映像。データ取得速度は、毎秒 900 スペクトル以上です。

FT-IR イメージを取得する最も簡単で古典的な方法は、試料を XY 方向に走査しながら FT-IR スペクトルを連続的に測定し、これらを空間情報と組み合わせて解析することです。これにより、例えばコーティング試料の不均一性の評価ど、基本的な問題の解決に役立てることができます。この手法は、マッピング法とも呼ばれます。

さらに効率的に FT-IR イメージを取得する方法として、複数の検出素子からなるアレイ 検出器の利用があります。アレイ検出器には、リニアアレイと 2 次元アレイの 2 種類があります。2 次元アレイ検出器は、フォーカルプレーンアレイ (FPA) とも呼ばれます。

リニアアレイではマッピングと同様に試料を走査する必要があるのに対して、FPA の場合は一回の測定でダイレクトにイメージデータを記録することが可能で、例えば 64 x 64 素子の FPA であれば、4000 本を超えるスペクトルを含むイメージが瞬時に得られます。

この手法では、赤外光の物理的回折限界に迫る空間分解能を達成しています。

赤外イメージング検出器について

リニアアレイ検出器では、検出素子が直列に配置されています。例えば 1 x 8 素子の検出器を用いた場合、一回の測定で 8 本のスペクトルが同時に得られますが、得られるのは線情報に限られます。したがってイメージデータを得るには、試料を走査しながら測定を繰り返し、得られた複数の線情報を「張り合わせる」必要があります。この手法は、単素子検出によるマッピングに比べれば高速ですが、依然としてスペクトル品位と測定時間の間には大きなトレードオフがあります。

FPA 検出器では、検出素子が 2 次元平面に配列されています。
FPA には、32 x 32, 64 x 64, 128 x 128 などさまざまな画素数のフォーマットがあります。これらを使用すると、データを張り合わせることなく一度の測定でイメージデータを直接得ることができるため、リニアアレイに比べて遥かに効率的です。また FPA によるイメージデータは、試料の可視画像と完全に一致した状態で記録されます。

下の図は、単素子検出器、リニアアレイ検出器、ならびに FPA 検出器によるイメージデータの取得方法の違いを模式的に説明しています。ご覧のとおり、単素子検出器とリニアアレイでは測定が段階的になります。

この図は、検出器の種類によるイメージング方法の違いを示しています。 左:単素子検出器、中央:リニアアレイ検出器、右:FPA 検出器

FT-IR イメージングにおける FPA 検出器の利点

FPA によるイメージングは、リニアアレイおよび単素子検出器と比較して測定速度と空間分解能の点で優れます。 適用範囲は無制限で、得られるスペクトルデータは常に最高品位で、測定時間は既に理論的限界に到達しています。
  • 最高のイメージングパフォーマンス:すべての測定手法において、1000 本以上のスペクトルを卓越した空間分解能で同時に取得します。
  • 単素子またはリニアアレイを上回る優れた空間分解能。
  • FPA イメージングと高度な自動化の組み合わせにより、さらに広い面積の測定も可能です。
  • FPA は、最短の時間で最高の解像度のケミカルイメージを生成します。
  • 分析の多様性を高めるため、豊富な検出器オプションの中から最大 3 台を同時に搭載することが可能です。

FPA によるイメージングは、リニアアレイおよび単素子検出器と比較して測定速度と空間分解能の点で優れます。 適用範囲は無制限で、得られるスペクトルデータは常に最高品位で、測定時間は既に理論的限界に到達しています。

FT-IR Imaging FAQ

最後に

FT-IR イメージングに関する FAQ

1. ケミカルイメージングはどのようなものですか?

ケミカルイメージングは、化学成分の分布の様子や空間的な違いを可視化する画像を記録するもので、これにより物質の特性、構造、および測定対象物の起源に関する知見を得ることができます。


2. FT-IR イメージングはどのようなものですか?

FT-IR イメージングは、ケミカルイメージを取得する方法のひとつです。この手法によるイメージでは、構成するすべての画素がそれぞれ赤外スペクトル情報を含んでいます。個々のスペクトルを解釈することで、試料についてより詳細な化学情報が得られます。


3. FT-IR イメージはどのようにして得られますか?

大きく分けて、単素子検出器あるいはリニアアレイ検出器と試料走査を組み合わせた方式と、FPA 検出器を用いて 2 次元イメージを直接測定する二つがあります。FPA は測定時間とデータ品位の点で優れ、単素子検出器による試料走査方式は導入コストの点で有利と言えます。


4. FPA 検出器はどのように機能しますか?

FPA 検出器は、デジタルカメラの原理に類似しています。ただし、一般的なデジタルカメラが可視光による画像を記録するのに対して、FPA では赤外画像を記録します。さらに FT-IR イメージングでは、FPA の各素子が赤外スペクトルを記録します。


5. FPA 検出器を使う場合も、視野絞りアパーチャは必要ですか?

いいえ、FPA 検出器を構成する各素子が空間的な測定領域を規定するため、アパーチャは不要です。これにより、他の検出器を用いた測定と比較して、はるかに優れた空間分解能が得られます。

 

6. FPA 検出器による測定で、空間分解能を変えることはできますか?

FPA での空間分解能は、基本的に FPA を構成する検出素子の大きさで規定されます。 ただし、隣接する素子どうしの情報を統合することで「より大きな素子」が得られるため、空間分解能を下げることができます。この方法は、スペクトル品位の向上にも効果的です。


7. FPA にはサイズの違いがありますか?

FPA 検出器には、さまざまなフォーマットサイズがあります。フォーマットは光学系に合わせて選択する必要がありますが、たとえば LUMOS II では 32 x 32 素子のサイズに最適化されています。HYPERION 3000 の場合は 64 x 64 または 128 x 128 素子のアレイに合わせて設計されています。128 x 128 FPA を使用すると、1 回の測定で 16,000 本を超えるスペクトルからなるイメージデータを秒単位で記録することができます。

8. 大きなサイズの FPA の方が良いですか?

いいえ、必ずしもそうとは言えません。FPA 検出器のサイズは、組み合わせる光学系で得られる赤外光のスポットサイズに合わせる必要があります。赤外光がアレイ全面に偏りなく入射することが、素子間で均質なスペクトルデータを得る上で重要となります。

 

9. 大きなサイズの FPA が有利になるのはどのような時ですか?

FPA 検出器の素子数が多いほど、より多くのスペクトルを同時に記録することができます。また素子のサイズが同じであれば、素子数が多いほどより広い面積を測定できることになります。例えば 128 x 128 素子の FPA は、32 x 32 検出器アレイの 16 倍の面積を 1 回の測定で カバーすることができます。

 

10. FPA で使用できる測定手法は何ですか?

FPA 検出器によるイメージングでは、透過、反射、ATR のすべての測定手法を適用することができます。とくに ATR 法を組み合わせた場合、最も高い空間分解能が得られます。

 

11. FPA と ATR 法の組み合わせで空間分解能が向上するのはなぜですか?

ATR プリズムが一種の固浸レンズとして機能することと、FPA イメージングではアパーチャを必要としない (アパーチャによる回折が発生しない) ためです。ゲルマニウムプリズムを使った ATR イメージングでは、その屈折率の効果によって空間分解能が透過法や反射法と比べて 4 倍向上します。

 

12. FPA イメージングは、どんな試料にも適用可能ですか?

FPA イメージングは、すべての測定手法と組み合わせることができるため、基本的にはほぼすべてのタイプの試料を分析できます。ただし、気体や揮発性物質はイメージング測定には適しません。

 

13. FPA によるイメージングの典型的なアプリケーションは何ですか?

イメージングのアプリケーションは、さまざまな産業と研究分野で見つけることができます。異物などの粒子、汚染物質、生体組織、医薬品、多層ラミネートなど、あらゆる不均一系試料の評価に適用が可能です。近年ではマイクロプラスチックの分析にも使われています。FPA 検出器を用いたイメージングは、高い空間分解能と大きな測定面積が求められる分析で使用されています。