ラマンの基礎

ラマン分光法入門

ラマン分光法の基礎を簡単に説明し、光と化学結合の相互作用が化学分析にどのように利用されるているかを明らかにします。

基礎

はじめに

ラマン分光法とは?

ラマンの基礎

ラマン分光法は、振動分光法のカテゴリーに属します。これは、光を用いて分子運動を生成(励起)し、この相互作用を解釈することにより、試料を化学的に分析することを意味します。

ラマン分光法は、単色光を照射された物質が発する非弾性散乱に基づいています。つまり、単色光は試料と相互作用した後、ごく一部の光のみが波長を変化させます。

この現象は、ラマン効果と呼ばれています。波長を変化させた光を収集し、試料に関する情報を取得できます。

ラマン効果

フォトン(光)が物質に「ぶつかる」とき、散乱光のほとんどはその波長が変化しません。例えば、緑色のレーザーポインターを壁に向けると、常に緑色の点が見えます。散乱光は明らかに同じ色であり、この現象はレイリー散乱と呼ばれています。

しかし、非弾性散乱プロセスが発生して、異なる波長の光が放出されることもあります。これは通常、分子の振動に関連して起こります。この散乱現象は、1923年にAdolf Smekalによって予測され、1930年にC.Vラマンによって発見されたもので、ラマン効果と呼ばれています。

ラマン効果を利用した分光法

ラマン効果の発見と理解は、新しい分光法への扉を開きました。しかし、ラマン分光法が実際に定着したのは、レーザーの発見があってこそでした。

このようにして、試料にレーザーを照射し、散乱光の一部を分光器(分散型またはFT技術)で分析します。最終的には、分析中の物質の特徴的なシグナルや「バンド」を示すラマンスペクトルを取得することができます。

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ラマン分光法の仕組みは?

この図は、ラマンスペクトルを測定するための最も基本的な設定を示しています。

驚くべきことに、ラマン分光計を作成することは実際には非常に簡単です! YouTubeを見ると、スペクトルデータを取得するための非常に基本的な実験をセットアップする方法を紹介したDIYビデオを見つけることができます。そのため、顕微鏡、ハンドヘルド、プロセス分光計など、ほぼすべての形態のラマン分光計を見つけることができます。

ラマンスペクトルを取得するには、分析する試料にレーザーの焦点を合わせるだけです。ただし、その試料は、励起に使用されるレーザーによって蛍光を発生してはなりません。ラマン散乱光は蛍光に比べて非常に弱いため、蛍光がラマン散乱光の情報を覆ってしまう可能性があります。

レーザー光が試料に照射された後、散乱光はフィルターを通過します(励起レーザーからの光を取り除くため)。その後、グレーティング上に導かれ、プリズムのように非弾性部分を波長に応じて分配します。最後に、これらの光線はCCDセンサーに導かれ、強度に応じてスペクトルを出力します。

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ラマンスペクトルはどのように見えるか?

これはジメチコンのラマンスペクトル(青色)をスペクトルライブラリで検索した結果です。明確に同定されています。

冒頭で、ラマンスペクトルには特定の「バンド」やシグナルが含まれていることを述べました。これらは特定の官能基に固有のものであり、多くの場合、物質にも固有のものです。これらは、物質の化学組成に関する情報だけでなく、結晶性、多形、圧力と温度の変化に関する情報も提供します。

ラマンスペクトルは、材料研究、新薬の開発、および、ナノメートル領域までの化学微量分析が必要とされる場合に強力なツールとなります。0.5 µm(500 nm)までの試料を分析することできます。必要なのは共焦点ラマン顕微鏡だけです。

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ラマン顕微鏡について

レーザーセーフティーハウジングを備えた共焦点ラマン顕微鏡 SENTERRA II。

一般的に、ラマン分光法で使用されるレーザー光は可視領域であり、サンプリングスライドや顕微鏡レンズに使用されるガラスを自由に通過できることを意味します。したがって、ラマン分光器を標準的な顕微鏡の光学系に組み込むことは可能です。

実際には、多くの場合、従来の卓上型ラマン分光器よりも顕微鏡の方が、「ポイント・アンド・シュート」のアプローチが可能で、追加の試料前処理をあまり必要としないため、好まれています。試料(グラフェンファイバーなど)を対物レンズの下に置き、顕微鏡でターゲットを定めて直接分析します。

簡単に言えば、ラマン顕微鏡は、ラマン分光法を行うためのレーザーベースの顕微鏡装置です。ブルカーにとって、ラマン顕微鏡とイメージングは中心的な役割を果たしているため、特別なウェブサイトを専用に用意しています。

初心者向けラマン解説動画

Yan Di氏による初心者のためのラマン講座

ラマンの専門家であるDi Yan氏が、初心者向けにラマンを楽しく簡単に説明する教育シリーズを作成しました。エピソードを見逃さないように、YouTubeでフォローしましょう。

1. なぜ空は青く見えるのか?
4. ラマン分光計の構成
2. 基底状態と励起状態
5. 分光学的フィンガープリント
3. 弾性散乱と非弾性散乱
6. ラマンスペクトルの生成

よくある質問

最後に

ラマン分光法に関するよくある質問

ラマン分光法とは何ですか?

ラマン分光法は、光と物質の化学結合との相互作用に基づいています。これにより、化学構造、多形、結晶性、分子動力学に関する詳細な情報が得られます。

ラマン分光法ではどのような情報が得られますか?

ラマンスペクトルは、分子や材料を明確に識別する化学指紋のようなものです。また、人間の指紋と同じように、参照ライブラリと比較することで、迅速に物質を同定したり、他の試料と区別したりすることができます。このようなラマンスペクトルライブラリには、多くの場合、分析対象物を同定するために数百件以上のスペクトルが登録されています。

ラマンは試料のインサイトを提供します:

  • 化学組成と特性
  • 結晶化度と多形
  • 汚染と欠陥
  • 熱的および機械的暴露

試料に条件はありますか?

ラマンは普遍的なサンプリング技術であるため、無機材料と有機材料の両方に対応しています。ただし、非常に弱いラマン効果に基づいているため、他の分光学的効果や特定の材料特性が決定的に干渉する可能性があります。

蛍光が強い試料の場合は、良好なラマンスペクトルが得られないことがあります。この場合、近赤外(NIR)レーザーとFT-ラマン技術への切り替えが有効な解決策になることがあります。もう1つのより重要な問題は、炭素が充填されたポリマーなどの強い吸収をもつ黒色試料です。試料が焼けてしまう可能性があります。

ラマンスペクトルを取得するのに必要な時間はどれくらいですか?

ラマン測定に必要な時間は、必要なスペクトル品質、試料の特性、そしてもちろん使用するラマン分光計などのいくつかの要因に依存します。通常、高品質のラマンスペクトルは数秒で取得できます。

ラマン分光法の用途は何ですか?

ラマン分光法は、非破壊(顕微鏡的)化学分析およびイメージングが必要とされるすべての分野で使用できます。定性的および定量的な分析に用いることができます。

 一般的に、ラマンは使いやすく、試料の化学組成や構造などを特徴付ける重要な情報を迅速に提供します。基本的に、試料が固体、液体、気体のいずれであるかはほとんど問題になりません。

ラマン分光法のアプリケーション:

  • 医薬品
  • 地質学と鉱物学
  • 半導体
  • 材料研究
  • 生命科学