LUMOS II

化学画像処理は一般的に、試料の分光学的特性に基づき非常に詳細で空間的に分解した化学分析を実施する上で極めて有効なツールです。そして、試料の分光学的特性がいわゆる化学画像として提示されます。

この化学画像の各画素が1つの完全なFTIRスペクトルで構成されています。このスペクトルデータを解釈すれば、化学構造や化学組成といった試料の特性を強調し、特徴付けるように疑似色の画像をレンダリングすることができます。

このような画像を生成するには、複数の方法があります。一点計測とラインアレイ計測では、化学画像を生成することが可能です。しかし、焦点面アレイ(Focal Plane Array:FPA) 技術 は、スペクトル輝度と性能の両方において簡単に両者を凌駕します。

FTIR Imaging LUMOS II

なぜFPA画像処理が卓越しているのか?

基本的に、計測点間の短い距離で一点計測を連続的に実施することができます。このため、ご自分の試料の化学マップを作成することができ、さまざまな用途で十分な能力を発揮します。しかし、試料領域が大きいと、この方法では分析にかかる時間が長くなってしまいます。そこで、完全自動の LUMOS II を採用すれば最小限の労力で成果を出すことができます。

FPAや単一要素の計測に比べて、ラインアレイ検出器はむしろハイブリッドソリューションとしての性質を持ちます。このような種類の計測では、単一要素検出器が連続的に配列されており(たとえば1 x 8)、一列のスペクトルを同時にレポートします(線形スキャン)。これらのスペクトルラインは、段階的に化学画像を取得するため、記録の後で「ステッチング」されます。一方、FPA検出器がそれぞれの計測で試料の真の 化学画像を生成します。その後、これらのFPA画像を融合して、非常に大きな試料領域を画像処理することができます。

FPA Imaging LUMOS II

ラインアレイ計測は一点計測よりも迅速に結果をもたらす可能性がありますが、スペクトルのクオリティとデータハンドリングに大きなトレードオフ(相殺)が生じます。さらに、ATR画像処理は信頼性が低く、実際的でないアクセサリでのみ実行することが可能です。これは、このような場合、化学画像や視覚画像が適切に調整することが決してできないことを意味しています。

これによりしばしば、重要な試料情報が失われることになります。さらに悪いことに、性質や構造によっては、上記のスキャン方法には妥当ではない試料も存在します。

最終的に、焦点面アレイ検出器であれば上記のような制約はありません。これは、単一の計測で大量のデータを記録することで化学画像を生成します(LUMOS II での1024スペクトル、および HYPERION)での4096/16384)。試料の構造に関係なく、データは視覚画像に完璧に合わせて調整されて迅速に記録されます。

 

 

1×1mmの生体組織サンプルで実施されたFPAイメージングのリアルタイム映像。測定速度は毎秒>900スペクトルです。

FPA画像処理の利点:

  • 極めて高度な画像処理性能:同時に、すべての計測モードにおいて、優れた空間分解能で1024スペクトルを取得します。
  • 一点計測またはラインアレイ計測とは比較にならないほど卓越した分解能を発揮します。
  • FPA画像処理と高度な自動化を組み合わせることで、とても大きな試料領域を分析します。
  • FPA画像処理で、極めて高い解像度の化学画像を短時間で生成します。
  • 検出器を最大2台まで追加して、分析上の多用途性を維持することが可能です。豊富な種類の検出器からお選びいただけます。

最良の分析機器を提供するには、FTIR分光法と画像処理技術について深く理解しておくことが必要です。使いやすいソフトウェア、スマートなハードウェア、そして賢い自動機能が、FTIR化学画像処理において優位性をもたらします。

まとめ:

FPA技術が、ラインアレイ計測と一点計測の速度と空間分解能を凌駕するのは当然のことといえます。適用性に限界はなく、取得されるスペクトルデータは常に最高水準のクオリティを誇り、計測にかかる時間は技術的に可能な限り短縮されています。

1. 化学画像処理とは?

化学画像処理とは、試料の化学的特性を2Dまたは3D画像で空間分解するための1つの手法です。この技術を用いることで、検査対象の試料の物質的な特性、構造、および出所に関する情報を取得することができます。

 

2. FTIR画像処理とは?

FTIR画像処理は、空間分解された化学画像を生成するための1つの手法です。これらの画像の各画素が1つの完全なIRスペクトルで構成されています。個々のスペクトルを解釈することで、興味深い試料領域を検出して評価することができます。

 

3. FTIR画像はどのように生成するのですか?

一般的な方法として、連続的な一点計測またはラインアレイ計測、ならびに焦点面アレイ(FPA)検出器による2D画像の直接的な取得があります。FPA検出器は優れたソリューションを提供しますが、その一方で高度に自動化された一点計測は経済的な代替手段であるといえます。

 

4. FPA検出器はどのように作動するのですか?

FPA検出器の原理は、デジタルカメラの原理と類似していますが、FPA検出器では、可視光ではなく赤外線によって、定義済みの画素のアレイが照らされ、それぞれの検出器の画素が独立し、空間分解された赤外線(IR)スペクトルを記録します。

 

5. FPA検出器は開口を必要としますか?

いいえ。FPA検出器は開口を必要としません。検出器の各画素が開口として機能し、空間分解された赤外線(IR)の情報を直接記録します。これにより、他の検出器の技術と比較してより速く、かつ高度な分解計測が可能になります。

 

6. FPAの空間分解能を調整することは可能ですか?

FPA検出器の空間分解能は、個々の検出器の画素の大きさに応じて異なります。しかし、隣接する画素を組み合わせて「より大きな画素」を形成させることができます。これにより空間分解能が低下し、スペクトルのクオリティが向上します。

 

7. FPAには、さまざまなサイズがありますか?

FPA検出器は、さまざまなアレイのサイズで利用できます。サイズは、光学システム(顕微鏡)に応じて選定してください。たとえば、LUMOS IIは32x32の画素アレイのために最適化されている一方、HYPERION 3000は64x64または128x128の画素アレイに向けて設計されています。後者を用いれば、1回のスキャンで16,000以上の空間分解された多数のスペクトルを記録することができます。

 

8. FPAは大きければ大きいほど良いのですか?

いいえ。FPA検出器のサイズは、顕微鏡がもたらす最適な照明のみ応じて異なります。検出器アレイの均質な照明は、検出器の中心と端の両方において一貫して高いスペクトル感度を確保する上で重要です。

 

9. 大きなFPAは、どのようなときにメリットを発揮しますか?

FPA検出器の面積が大きければ大きいほど、より多くのスペクトルが同時に記録されます。空間分解能はアレイのサイズから独立しているため、128x128のFPA検出器は単一の計測で32x32の検出器アレイの16倍の大きさの領域をカバーします。

 

10. FPAは、あらゆる計測技術と組み合わせることができますか?

はい。できます。FPA検出器は、透過、反射、および全反射吸収法(ATR)においてメリットをもたらします。特に、ATR技術と併せて使用したとき、この種類の検出器は極めて高い空間分解能を達成します。

 

11. なぜ、ATRにおいてFPA計測の分解能は上昇するのですか?

高屈折率のソリッドステートレンズ(ゲルマニウムATR結晶)と「開口なし」FPA検出器を組み合わせることで、空間分解能が透過の計測と比較して4倍にも高まります。この効果は、油浸レンズとも呼ばれます。

 

12. FPA計測は、すべての試料に適用可能ですか?

FPA計測はあらゆる計測技術と組み合わせることができるため、原則としてあらゆる種類の試料をこの方法で分析することが可能です。気体、液体、およびその他の揮発性物質は、それらの力学的特性が理由で顕微鏡による分析ができません。

 

13. FPAの一般的な用途は何ですか?

一般的な用途は、あらゆる工業分野と研究分野に存在します。マイクロプラスチック、粒子、および汚染物質の分析から、生物組織、医薬品、多層ラミネート、漆などの複雑な化学構造の特性評価に至るまで、さまざまな用途に利用できます。すなわち、この検出器の技術は、とても高い空間分解能、および大きな試料領域の分析が欠かせないのであればどこでも利用可能です。