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リポタンパク質のサブクラス分析

IVDrプラットフォームでツールの使用が可能

リポタンパク質は、血中の水溶性の脂質を運搬する超分子の集まりです。またリポタンパク質は、構造と機能を決定するアポリポタンパク質も運びます。単層の両親媒性リン脂質でコレステロールを内包するアポリポタンパク質は、周囲の水分から脂質を「隠す」リポタンパク質の表面を構成しています。その内部中心は、主にトリグリセリドとエステル型コレステロールで構成されています。

リポタンパク質は通常、以下の5グループに分類されます。

  • カイロミクロン
  • 超低比重リポタンパク質(VLDL)
  • 中間比重リポタンパク質(IDL)
  • 低比重リポタンパク質(LDL)
  • 高比重リポタンパク質(HDL)


心血管系疾患発症のリスク評価では、血漿中のコレステロールのリポタンパク質とトリグリセリドの合計濃度よりも、それらのクラス別濃度に注目します。リポタンパク質のサブクラスを加味することで、心血管系疾患のリスク予測向上の可能性が強く示唆されています。

NMRを用いたリポタンパク質のサブクラス分析

ブルカーB.I.-LISAリポタンパク質パネルには、例えば1サンプルに1週間かかる超遠心法などの現在の検査方法と比べて著しく優れた利点があります。例えば、超遠心分離機は最大で16サンプルを一度に処理できますが、正確な手作業の繰り返しが必要とされます。VLDLのサブクラス分析では、調整可能な角度での超遠心分離が必要です。したがって、別のアプローチを求める必要があります。

ブルカーはこれまで、超遠心分離による結果の回帰分析を用いて、血漿や血清サンプルの1H-核磁気共鳴(1H-NMR)分光法に基づくリポタンパク質サブクラス分析法を確立するためのプロジェクトの中心的な役割を果たしてきました。

その目的は、次のような分析法を提供することにありました。

  • 血漿や血清中のリポタンパク質およびサブクラスについて、コレステロール、リン脂質、トリグリセリド、アポリポタンパク質A1、A2、Bのほか、LDLの粒子の数を決定する分析法
  • 完全自動化、シンプルなサンプル調製、自動レポート生成により、サンプルの単価を低く抑えたハイスループット(質の高いルーチンスクリーニングで1日あたり最大150サンプル)な分析法
  • 最高の再現性での十分な精度と、装置間の優れた互換性を確保できる分析法

メソッドの選択は、リポタンパク質に関する1H-NMRスペクトルの分析に基づいています。リポタンパク質の組成やサイズ、比重の違いが個々の信号の形状の差となって現れます。この違いを、リポタンパク質とサブクラスの情報を抽出するために使える可能性があります(図1参照)。

次の項目で構成されるトレーニングデータセットを作って、回帰モデルを作成する必要がありました。

  • 全血漿から得た分析対象のリポタンパク質と、超遠心分離法によるリポタンパク質とそのサブクラス
  • 同じサンプルセットの1H-NMRスペクトル


回帰モデルを決定すると、すぐに予測アルゴリズムが新たな血漿および血清サンプルの1H-NMRスペクトルから、直接分析対象のリポタンパク質を算出します。追加で超遠心分離を行う必要はありません。

この1H-NMRアプローチを用いて、次の分析対象のリポタンパク質関連情報を抽出することができました。

  • 血漿と血清
  • VLDL、IDL、LDL、HDLの親クラス
  • • VLDLの6つのサブクラス(VLDL-1~VLDL-6。比重の上昇とサイズの減少順に並べ替え)
  • HDLの4つのサブクラス(HDL-1~HDL-4)


情報は脂質(コレステロールや遊離コレステロール、リン脂質、トリグリセリド)の濃度と、アポリポタンパク質Apo-A1、ApoA2、Apo-Bの濃度、またLDL粒子数からなります。表1には、1H-NMRリポタンパク質解析によって算出された全てのパラメーターを示しています。図1には自動生成されたレポートの最初のページを示します(B.I.-LISA)。

Lipoprothein table 1
表1: 1H-NMRリポタンパク質サブクラス解析で得られた全パラメーターの一覧
Lipoprothein figure 1
図1 B.I.-LISAレポートの最初のページには主要な画分の情報を掲載

回帰分析というアプローチの性質上、表1に記載の分析対象物質は部分的な相関関係にあり、独立した分析対象物質とみなされないことに注意が必要です。分析対象物質同士の相関は、脂質代謝と、回帰モデルの学習用に使用された超遠心分離で得たトレーニングデータセットの範囲によって決定される、ほんの数種類の潜在的な因子に依存します。この回帰モデルは、600 MHzスペクトルだけで作成されています。

リポタンパク質サブクラス分析のバリデーション

結果の妥当性を検証するために、次の手法で継続的に追跡しました。

  • 測定と分析の再現性を検証(図2)
  • 測定と分析の移管が可能であることを検証
  • 試験室間の比較試験
  • 認証標準サンプルによる主要なパラメーターのトレーサビリティ試験
Lipoprothein figure 2
NMRによる、リポタンパク質測定値の短期および長期の不正確性(NCEP、米国コレステロール教育プログラム)。

ブルカーB.I.-LISA IVDrリポタンパク質分析の利点

  • 超遠心分離法よりも低コスト
  • 1サイクルが短い-数日から分単位に
  • 完全自動、シンプルな測定(例: MTAによる)
  • 超遠心分離法と同等の感度と特異性
  • 少ないサンプル使用量(500 mL) – 患者の負担軽減
  • 試料調製が容易
  • サンプルと装置が直接接触しない
  • スペクトルは複数種類の分析に使用可能

リポタンパク質サブクラス分析の臨床研究やトランスレーショナルリサーチでの使用

  1. アテローム性動脈硬化症
  2. 心血管疾患(予防、早期検出、グレード分類、治療に関する研究)
  3. 2型糖尿病、肥満、メタボリックシンドローム
  4. 脂肪肝疾患
  5. 血栓症
  6. 脳卒中
  7. 脳血管障害
  8. 炎症性疾患
  9. がん
  10. 食物の健康への影響
  11. スペクトルが付随したバイオバンク、血漿・血清の品質管理、空腹状態、濃度の一連の情報
  12. 疫学研究
Lipoprothein figure 3
ブルカーのIVDrリポタンパク質サブクラス分析B.I.-LISAで算出した脂質分布の例

リポタンパク質サブクラス分析の要件

  • 600 MHzのIVDrプラットフォーム
  • ブルカーの血漿/血清用SOPの使用
  • 絶対温度、溶媒抑制、定量標準サンプルの定期的な確認作業が必須(毎日行うことが望ましい)
  • 完全自動のリモート分析のためのブルカー データ解析サーバーへの接続(測定後、プライベートFTP経由でスペクトルをブルカーのサーバーに転送して結果レポートを取得)

免責事項

リポタンパク質サブクラス分析ツールは研究用途に限定されています。診断や患者の管理目的では使用できません。記載されたパラメーターの濃度範囲はモデルにおける分布であり、診断目的には使用できません。

購入オプション

リポタンパク質サブクラス分析は、IVDrプラットフォームのオプション品です。3年間、定額での購入が可能です(価格は営業担当にお問い合わせください)。分光計の性能と分析の精度を確保するため、サービス契約への加入を強く推奨します。

IVD-CEリポタンパク質サブクラス分析

IVDrプラットフォームは、診断目的で結果を必要とする機関向けのIVD-CEメソッドにも対応しています。このメソッドはNumares社が提供します。詳細は営業担当にお問い合わせください。