プロセスラマン分光計  

Process GuardianTM

高性能ラマン分光法によるリアルタイムプロセス分析

リアルタイムプロセス監視を優れた精度で実現

プロセスラマン分光計Process Guardian™は、近年進化するプロセス分析のニーズに対応するように設計されています。当社の特許取得済みハイ・スループット・バーチャル・スリット(HTVS™)技術を採用した本分光計は、従来のスリット方式のラマン分光計に比べて10 倍から30 倍の高い信号強度が得られます。これにより、より高速な測定、より優れた検出下限、およびケモメトリクスを用いた高い定量精度が実現します。

本分光計は、堅牢なラックマウント対応のスタンドアローンな分析装置として設計されており、そのため、研究開発の実験室と産業現場の両方で、設置およびその後の運用が簡単です。統合プロセッサー、組込みソフトウェア、内蔵ディスプレイを装備しているため、外部PCやITメンテナンスが不要で、独立して動作します。

また、インライン、アトライン、ベンチトップアプリケーションのいずれの場合でも、重要なプロセスでリアルタイムに意思決定を行うにあたり要求される必要な性能、柔軟性、および容易な操作を提供します。

主な特長

  • HTVS™ 技術により、業界トップクラスの感度と速度を実現
  • 組込みプロセッサとソフトウェアを内蔵した、完全にスタンドアローンな設計
  • 現場での交換が可能で、安定した出力の785 nmレーザー
  • 回転ダイヤルと、手袋対応のボタンによる直感的な操作
  • 8.7インチ一体型高解像度ディスプレイ
  • デュアルLANインターフェース(OPC UAおよびModbus TCP/IP対応)
  • 最大8チャンネルの光ファイバーマルチプレクサに対応
  • 多様なアプリケーションに対応する幅広い種類のラマンプローブをサポート
  • 21 CFR Part 11に準拠
  • 危険区域に設置する場合、ATEX認証済みの構成が可能

The HTVS™のメリット

当社の特許取得済みHigh Throughput Virtual Slit(HTVS™)技術は、Process Guardian™の優れた分析性能を発揮するための核心的で革新的な技術です。従来の分光計が有する光学スリットを取り払うことで、HTVS™はスペクトル分解能を損なうことなくスループットを大幅に向上させます。これにより、低濃度の試料や強いバックグランド蛍光を有する試料であっても、信号強度が最大30 倍向上し、スペクトル取得時間が短縮され、信号対雑音比が向上し、検出下限が向上します。

 

危険区域への設置に対応したデザイン

Process Guardian™は、危険区域(Ex)に対応した構成オプションを提供し、化学的または物理的に過酷な環境において安全かつ規制に準拠した運用を可能にします。OPIS 35™ ATEX/IECEx認証取得のレーザーアクセサリーと組み合わせることで、システムは本質安全となりラマン測定をサポートします。そして、石油化学、製薬業界をはじめとする規制対象分野での適用範囲を拡大します。

新しい知見の獲得とプロセス制御に最適

本分光計は、高速なデータ取得と高度なケモメトリクス定量機能を組み合わせることで、ユーザーがプロセスへの理解と制御を強化し、リアルタイムの調整と長期的な最適化を実現します。開発段階でも生産段階でも、高品質なラマンデータに基づいて、チームがより迅速で適切な意思決定を行うことを可能にします。

オプションのマルチプレクシング機能により、4 チャンネルまたは8 チャンネルの同時測定が可能です。したがって、単一の分析計でもプロセスライン内の複数の測定点を監視できます。これにより、測定機器の設置面積を大幅に削減し、コストを低減できます。さらに、ユーザーは監視範囲を拡大し、プロセス全体をより包括的に把握できるようになり、開発環境から生産環境までの展開を加速できます。

設置および操作が容易

Process Guardian™は、過酷なプロセス環境において最適なパフォーマンスを発揮するように設計されており、最小限の運用コストで実用的な知見を提供します。すべてが組込まれたシステム構成により、外部PCは不要となり、設置が容易です。IT依存を排除し、システム可用性を向上させます。

耐久性のあるハードウェア制御と、手袋対応の高輝度ディスプレイを備えた直感的なインターフェースにより、オペレーターは容易な操作性を体感できます。一方リモートユーザーは、標準的な産業用プロトコルを介して、重要なパフォーマンスデータに24 時間365 日アクセス可能です。様々な機能が統合されており、例えば、装置状態の監視機能、レーザー安全インターロック、およびスマートな故障検出機能などによって、信頼性と自動化がさらに強化されます。

アプリケーション事例

巨大分子(生物製剤)

Process Guardian™は、上流工程と下流工程の両方でバイオ医薬品のプロセスを正確かつリアルタイムで監視します。細胞培養におけるグルコースや乳酸などの主要な栄養素の追跡から、精製工程と製剤工程における重要な品質属性(CQAs)の監視まで、あらゆるスケールでのプロセス最適化と制御を支援します。その高い感度と、組込まれた高度な機能により、連続監視とデジタルバイオプロセシング戦略に最適です。

 

化成品

リアルタイムのデータの解釈が不可欠な化成品製造環境において、優れた性能を発揮します。物質が低濃度でも反応の進行状況、不純物濃度、残留反応物の迅速かつ正確な測定を提供します。堅牢な設計と、プロセス分析に対応したソフトウェアを備えた本分析計は、高度な動力学研究や連続製造ワークフローを支援する理想的なソリューションです。

 

食品・飲料

食品加工産業においては、組成と構造の分析に迅速で非破壊的なソリューションを提供します。脂肪や糖分含量、アルコール濃度、食品の真贋など、重要な品質指標の継続的なモニタリングを可能にします。その精密な分子特性解析は、プロセス制御の向上、規制遵守の支援、製品品質の維持に貢献します。

低分子化合物(化学薬品)

プロセス開発、プロセス最適化、または製造管理のいずれの用途においても一貫した薬品の品質と収率を維持するために、高品質なラマンデータを供給します。そのマルチプレクシング機能により、結晶化、混合、錠剤コーティングプロセスなど、複数の工程を同時に監視することが可能となり、製薬製造における規制遵守要件を満たしながら、シームレスな分析を実現します。

 

油・ガス

本分光計は過酷で危険な環境向けに設計されており、石油化学および製油所アプリケーション向けに堅牢なラマン分析を提供します。オレフィン、芳香族化合物、ベンゼンのリアルタイム定量分析に加え、オクタン価や蒸気圧などの間接的な物性推定にも対応しています。ガス相モニタリング機能により、水素、炭化水素、二酸化炭素などの主要成分の検出と定量分析が可能です。

 

ポリマー

開発から製造まで、本分光計はポリマーのプロセスに詳細な化学的知見を提供します。重合反応のモニタリング、残留モノマーの検出、添加物含有量の分析を可能にします。押出成形や配合工程中のリアルタイムフィードバックにより、製造メーカーは製品品質の最適化を実現し、プロセスパラメータを厳密に管理できます。