既存製品の生産、改良や次世代製品の開発において不具合が生じた際には、その原因の特定が必要です。製品の故障モードを解析することで、エンジニアは製品設計と生産プロセスのパラメーターが製品の信頼性に与える影響を理解できます。
不具合の原因の1つに材料に作用する固有の応力または外部から加えられる応力によって引き起こされる機械的な要因があります。設計上の欠陥、不適切な材料の選択、生産プロセスの欠陥により、製品の破壊、クリープ、磨耗、疲労などの一般的な機械的特性に変化が生じるためです。
ナノ・マイクロスケールの材料の不具合原因を調査するために、局所的な機械的特性、トライボロジー特性、および界面接着特性を定量的に評価することは極めて有効な手段です。ナノインデンテーションは、少量・微小構造・薄い材料に対して定量的な弾性率、硬さ、クリープ、応力緩和、破壊靭性などの評価が可能です。ナノインデンテーションの高い空間分解能でのマッピング機能により、機械的特性の分布を可視化でき、不具合の原因を解明する一助となります。さらに、ナノスケールのスクラッチ試験により、局所的な摩擦・摩耗特性、薄膜の界面接着特性を評価することができます。