ナノスケールの粒子は現代の工業製品に用いられる材料としてますます重要な役割を果たしています。例えば、材料系に機械的、光学的、電気的、熱的特性を付与するための添加剤として用いられることがあります。これはナノ粒子が大きな粒子に比べ、同じ重量でも全体の面積が大きく、粒子間距離が小さいため、バルク材料とナノ粒子の相互作用が大きくなり特性が大きく変化するためです。そのため、航空宇宙産業、エレクトロニクス産業、自動車産業などで使用される材料にナノ粒子をコンポジットしたものが幅広く利用されています。
複合材料の特性を確実に把握し、最適化するためには、各成分それぞれの特性を調査する必要があります。ナノスケール粒子の機械的特性を評価する際にはそのサイズゆえ負荷できる荷重や歪みが限られるため、極めて精密な測定装置と検出装置を用いて、1つ1つの粒子を適切な位置精度で測定する必要があります。ブルカーのナノインデンテーションシステムは電子顕微鏡(SEM、TEM)中に設置可能なため、試験開始前に測定位置を電子像で確認することができ、試験中も材料の変形をin-situで観察できるため、確実にナノ粒子の評価を行うことができます。