新しいブルカーのライフサイエンス研究向けNMRソリューションが可能にする、機能・構造生物学および細胞生物学研究

PORTOROZ（スロベニア）–   2021年7月5日  –  ブルカーはEuromar会議2021（Euromar2021）において、NMRソリューションを用いた機能・構造生物学研究を推進しています。  ドイツのユーリヒ総合研究機構(FZJ)およびゲッティンゲンにあるマックスプランク生物物理化学研究所では、新しいGHzクラスのNMR技術によって、タンパク質とリガンドの相互作用における親和性と特異性の基本構造に関する高度な研究が可能となっており、細胞膜タンパク質の構造の理解を深め、タンパク質の折り畳みや凝集に関わる分子メカニズムについても研究が進められています。

1.2GHz NMRによるスペクトル分解能の向上および超高磁場 NMRの感度によって、研究チームは既にタンパク質をより深く観察できるようになっています。例えば、アルツハイマー病の初期段階のアミロイドタンパク質の凝集や、タウ（Tau）タンパク質の機能および構造をより詳細に 理解できるようになりました。

ブルカーのGHzクラスのNMR装置では、独自のプローブおよびソフトウェアだけでなく、機能・構造生物学研究のための固体NMRも有用です。固体NMRは、結晶化も溶解も困難なタンパク質、例えば脂質二重層に埋め込まれた膜タンパク質、あるいはタンパク質凝集体などの構造決定を行う場合に役立ちます。詳細は、以下の動画をご参照ください。

さらに、最近発表された600 MHzの三重共鳴CPMAS クライオプローブ（CryoProbe）では、サンプルを修飾したり液体窒素などを用いて低温に設定したりする必要はなく、サンプルが生理学的条件に近い状態で感度を3倍に向上することができます。600 MHz CPMAS CryoProbeは、GHz NMRのプロトン検出用の室温プローブを補完するものであり、一般的な回転数に対応します。一方、GHz NMRのプロトン検出用のHCN CPMAS室温プローブは、111kHzの非常に高速な回転数に対応します。この一連のツールによって、タンパク質のダイナミクスの調査が可能となり、タンパク質の構造モデルを作成することができます。重水素化の必要がない固体NMRのプロトン検出により、これまでNMRに適さなかったタンパク質も分析できます。革新的な最新技術である固体NMR自動化のためのMASシャトルによって、自動化されたiProbe CPMASを用いた研究が可能となり、作業時間の短縮とスループットの向上を実現します。

構造生物学の研究者は、BioTopソフトウェアパッケージで改善および統合されたワークフローを活用することで、サンプルの特性に応じて最適化および自動化された、タンパク質のダイナミクスのNMRデータ測定が可能です。データは、BioTopからProtein Dynamics Centerソフトウェアを用いて容易に自動解析することができ、配列特異的なタンパク質のダイナミクスを可視化することが可能です。外部ソースからメタデータ（一次配列、スペクトルの帰属、三次元構造）を入力すると、Dynamics Centerはタンパク質構造上に直接、ダイナミクスのヒートマップを生成して可視化します。

Roland Riek教授（チューリッヒ工科大学、ETH）らが示した人工知能と深層学習の進歩は、構造決定を加速し、NMR測定から構造決定までの時間を数週間あるいは数ヶ月から1日未満へと短縮します。ブルカーのBioTopとTopSpinソフトウェアによる自動化されたワークフローが、生物学者にとって強力な手法となるNMR選択の障壁を低減しています。ETHのサーバーベースのソリューションと連携して、タンパク質のダイナミクス研究やその後の構造決定を容易にし、自動化することができます。

また研究情報管理用のBruker Arxspanソフトウェアは、複雑なデータを一元管理・共有することで、更なるデータの取り回しやダウンロードの負担を軽減します。

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Thorsten Thiel, Ph.D.
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Bruker BioSpin
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